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2024年の梅雨入り・梅雨明けはいつ?全国の最新予想!

2023年梅雨マップ

2023年の梅雨入り・梅雨明けの確定値が、気象庁から発表されました。梅雨入りについては、北陸・東北地方で2日遅く修正され、梅雨明けに関しては、奄美地方で1日、東海・近畿・中国地方で4日、四国で5日遅く九州南部では2日早く修正されました。

気象庁は、以下のように状況をまとめて発表しています。

・梅雨入りは東海地方でかなり早く、九州北部地方、四国地方、中国地方、近畿地方、東北北部で早かった。一方、沖縄地方と奄美地方で遅かった。

・梅雨明けは、九州南部でかなり遅く、沖縄地方と九州北部地方で遅かった。一方、中国地方、近畿地方、東海地方、東北南部、東北北部で早かった。

・梅雨の時期の降水量(6~7月、沖縄と奄美は5~6月)は、奄美地方、東海地方、北陸地方、東北南部、東北北部で多かった。一方、沖縄地方で少なかった。

そして、確定値の全体を見渡してみると、奄美・沖縄を除いて7月16~25日に一気に梅雨が明けたうえ、西日本(九州以外)→東・北日本→九州、という順番で、列島の真ん中から梅雨明けが広がっていったことが印象的です。最後に梅雨明けしたのが九州です。

個人的な感想としては、意外に修正が少なかったことが意外に思われました。というのは、梅雨が明けても、にわか雨や雷雨の頻発する不安定な天気が続いた地域が多く、梅雨明けの特定が難しいと思われたためです。地域によっては「梅雨明けを特定せず」となっても不思議でないとさえ考えていました。

さらに、通常南海上の太平洋高気圧(夏の高気圧)がオホーツク海高気圧を押し上げることで梅雨明けになるのですが、今年は少し異質でした。大陸からの北方の高気圧が、太平洋高気圧を押し下げるような形で梅雨明けしたからです。

梅雨前線が押し下げられて梅雨が明けると、北方の高気圧に覆われて冷夏になりやすいのですが、2023年はとんでもない猛暑になりました。北方の高気圧はオホーツク海高気圧などではなく、大陸育ちのより「熱い高気圧」だったのです。

二つの「熱い高気圧」は次第に合体し、日本列島を強烈に覆っていきました。東京でも猛暑日(最高気温が35℃以上)の日数は、過去ダントツの22日(2位は2022年の16日)を観測しています。

結果的に猛暑となり、気象庁はこの夏について以下のようにまとめて発表しています。

・夏の平均気温は、北・東・西日本でかなり高かった。日本の平均気温は 1898 年以降で夏として最も高かった
・夏の降水量は東・西日本太平洋側と沖縄・奄美で多かった一方、北日本太平洋側で少なかった。
・夏の日照時間は北・東日本日本海側と北・東日本太平洋側でかなり多かった一方、沖縄・奄美で少なかった

「2023年の夏は暑かった」という見解は、ほぼ全国の方が同意されることでしょう。しかし「雨が凄く多かった」と感じる方と、「少なかった」と感じる方がいらっしゃると思います。

なぜこのような齟齬が起きたのかというと、今年の夏は、例年の太平洋高気圧圏内(砂漠気候)の気候の他に、熱帯多雨林の気候の要素が入っていたためです。

熱帯多雨林では原則として非常に雨量が多いですが、積乱雲による雨であるため、降り方はまばらになりがちです。

しかも地形の複雑な日本列島では、「降るところでは恐ろしく降るが、降らないところは徹底的に降らない」という傾向が起こってしまったことも大きな特徴といえるでしょう。

気候変動の一環として、気候が高緯度側へシフトする、つまり今年のように、真夏は「砂漠気候」に近い気候になるはずのものが「熱帯多雨林気候」になってしまうといった傾向も、今後各地で出現してくるでしょう。

2023年の夏、そして梅雨は、その予行練習とも言える年だったのかもしれません。

7月23日、九州南部の梅雨明けも発表され、続いて25日に九州北部も梅雨明けが発表されました。北陸や東北では平年より2~6日早い、その他は1~8日遅い梅雨明けとなりました。

梅雨明けした地域ではよく晴れて厳しい暑さとなったところが多いですが、例年の真夏に比べて少しからっとした印象がなかったでしょうか。これは、大陸からの乾いた移動性高気圧が、梅雨前線を追い払うようにして梅雨明けしたためです。

やがて、南海上の太平洋高気圧と合体して湿度が高くなってくるものと思われますが、数日間は少し(ほんの少しですが……)ほっとできるくらいの暑さになるかもしれません。

 

なお、フィリピンの東で発生した台風5号が北西へと進んでおり、台湾方面にむかっています。今後中心気圧935hPa、最大風速50mの「非常に強い」ランクまで発達する見込みです。台風の北上に伴って、周辺には暖かく湿った空気(赤道気団)が流れ込んでくるため、大気の状態が不安定になって、にわか雨や雷雨となりやすくなる見込みです。各地の最新の気象情報にご注意ください。

季節予報によると、向こう一か月の気温は全国的に高めの予想が出ています。このまま厳しい暑さが続く見込みです。向こう一か月の降水量は北海道で多め、その他は平年並みか少なめの予想です。梅雨明けした地域では、台風や雷雨以外に降水がほとんどなく、夏空が続くでしょう。日照時間も同様の傾向で、北海道で平年並みか少ない予想、その他は平年並みか多い予想になっています。

気候学的に北海道には梅雨はないとされていますが、「蝦夷梅雨」と呼ばれる梅雨と似た現象は知られています。そんな北海道では、しばらく曇りや雨の日が多く、すっきり晴れる日は少ない見込みです。

梅雨の前半には、梅雨前線はたいてい教科書通りのふるまいをすることが多いですが、後半、そして末期になるとだんだん不明瞭で解析が難しくなり「何を考えているかわからない状態」になりがちです。2023年はその傾向がいっそう強かったように感じます。どこにいるのかわからず、神出鬼没に表れては豪雨や激しい雷雨をもたらす……そして、さりげなく去っていく……災害が多く予報が最も難しい鬼門のシーズンであると同時に、詩的で「エモい」シーズンでもあると思います。

今後、暑い夏になるとはいえ、2023年はいったいどんな個性を持つ夏になるのでしょうか。熱中症や災害に注意しながら、夏を満喫したいですね。

気象予報士 金子大輔

2023年の梅雨入り更新日:2023年7月25日

地方 令和5年 平年 昨年
沖縄 5月18日ごろ 5月10日ごろ 5月4日ごろ
奄美 5月18日ごろ 5月12日ごろ 5月5日ごろ
九州南部 5月30日ごろ 5月30日ごろ 6月10日ごろ
九州北部 5月29日ごろ 6月4日ごろ 6月11日ごろ
四国 5月29日ごろ 6月5日ごろ 6月11日ごろ
中国 5月29日ごろ 6月6日ごろ 6月11日ごろ
近畿 5月29日ごろ 6月6日ごろ 6月14日ごろ
東海 5月29日ごろ 6月6日ごろ 6月14日ごろ
関東甲信 6月8日ごろ 6月7日ごろ 6月6日ごろ
北陸 6月11日ごろ 6月11日ごろ 6月6日ごろ
東北南部 6月11日ごろ 6月12日ごろ 6月6日ごろ
東北北部 6月11日ごろ 6月15日ごろ 6月6日ごろ

※気象庁ホームページより

2023年の梅雨明け

地方 令和5年 平年 昨年
沖縄 6月25日ごろ 6月21日ごろ 6月20日ごろ
奄美 6月26日ごろ 6月29日ごろ 6月22日ごろ
九州南部 7月23日ごろ 7月15日ごろ 7月22日ごろ
九州北部 7月25日ごろ 7月19日ごろ 7月22日ごろ
四国 7月21日ごろ 7月17日ごろ 7月22日ごろ
中国 7月20日ごろ 7月19日ごろ 7月26日ごろ
近畿 7月20日ごろ 7月19日ごろ 7月23日ごろ
東海 7月20日ごろ 7月19日ごろ 7月23日ごろ
関東甲信 7月22日ごろ 7月19日ごろ 7月23日ごろ
北陸 7月21日ごろ 7月23日ごろ -
東北南部 7月22日ごろ 7月24日ごろ -
東北北部 7月22日ごろ 7月28日ごろ -

※気象庁ホームページより

 

平年の梅雨時期カレンダー

平年の梅雨時期カレンダー※2022年更新

 

 

過去のエリア別梅雨情報

 

 

梅雨って?

そもそも梅雨とはどんなものなのか、少しおさらいしてみましょう。
梅雨というのは全世界で見られるものではなく、東アジア(中国の南部〜長江流域の沿海部、台湾、北海道と小笠原諸島以外の日本など)でみられる、曇りや雨が多発する特有の気象現象です。期間としては主5月〜7月に発生します。

ちなみに、どうして「梅雨」と呼ばれるようになったのか。その語源に関する説は、梅の実が熟す時期だからという説や湿度が高い為カビが生えやすい時期である事から黴雨、そして梅雨と呼ばれるようになったなどと多岐にわたります。

 

         

梅雨入りや梅雨明けを発表する全国の気象台はどこ?

東北地方

青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島

関東地方

茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨・長野

仙台管区気象台 東京管区気象台
東海地方

岐阜・静岡・愛知・三重

北陸地方

新潟・富山・石川・福井

名古屋地方気象台 新潟地方気象台
近畿地方

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山

中国地方

鳥取・島根・岡山・広島

大阪管区気象台 広島地方気象台
四国地方

徳島・香川・愛媛・高知

九州北部地方

山口・福岡・佐賀・長崎・熊本・大分

高松地方気象台 福岡管区気象台
九州南部地方

宮崎・鹿児島

沖縄地方

沖縄

鹿児島地方気象台 沖縄気象台

 

まとめ

そもそもですが「この日から梅雨になります」とはっきり宣言するものではなくとても曖昧なものと言え、梅雨時期には予想できない大雨による災害が多く出る時期でもあり、こまめな情報収集が必要と言えるでしょう。

なんとなく「この時期だろう」というものは頭に入れておき、鞄に折り畳み傘を忍ばせておきましょう。備あれば憂いなしです。

 

 

今日の天気

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      梅雨時期の良くある質問

      全国の気象台が管轄する地方の発表を担当しています。
      週間天気予報を元に、気象庁や各気象台の担当部署が検討して、梅雨入りや梅雨明けを発表しています。
      明確な定義があるわけでもなく、発表の段階では速報値となり、毎年9月頃に確定値が発表され修正される場合があります。

      年間を通して梅雨の時期は、予報が一番難しい時期で気象予報士泣かせの時期でもあります。

      梅雨を迎える前に、まるで梅雨に入ったと思わせるような、ぐずついた天気が続くことを言います。年によってはそのまま梅雨入りする年もあります。

      台風の渦は反時計回りで、北東側では暖かい空気を梅雨前線に向かって吹きつけるため、梅雨前線に強い影響を与えます。

      この2つの前線は季節が違い、梅雨前線は梅雨の時期に発生する前線で、秋雨前線は夏の終わりの時期に発生する前線のことです。

      梅雨と呼べるのは、東アジアのみとされていますが、その他の国では雨季としてあります。

      2022年の梅雨情報

      2022年の梅雨

      2022年、梅雨明けの速報値では九州や本州で観測史上最も早い梅雨明けとなったのですが、秋に再検討したところ、九州から関東甲信地方の梅雨明けの確定値は7月下旬(ほぼ平年並み)となりました。さらに東北北部・南部と北陸地方では梅雨明けが特定できませんでした。北陸地方で梅雨明けが特定できなかったのは、1951年の統計開始以降4回目のことです。

       「梅雨明け特定できず」とはどんな状況か。一番有名な事例が1993年です。8月になっても天気が愚図つき、夏が来ないまま秋になってしまいました。イネは大凶作になり、タイ米が流通した年として記憶に残っている方もいらっしゃることでしょう。梅雨前線は、立秋を過ぎると「秋雨前線」と改名しますが、1993年は梅雨が明けないまま秋雨になってしまったイメージです。

       さて、2022年はいったん史上最早の梅雨明けとされたにも関わらず、なぜ一カ月程度遅く訂正されたのでしょうか。まず6月下旬に梅雨前線は北上し、7月初めにかけて本州は小笠原気団に覆われて記録的な猛暑に見舞われました。この夏空に、日本中の気象予報士・予報官が騙されてしまったというわけです。

      しかし7月中旬になると、少し状況が怪しくなってきます。上空に強い寒気が流れ込むなどして大気の状態が不安定になり、雨や雷雨が頻発しました。これを皮切りにいったん北上して消滅した梅雨前線が7月15日頃から復活し、低気圧や前線による雨が続きました。いわゆる「戻り梅雨」です。

      「梅雨入り」「梅雨明け」には一般に明確な定義はありません。予報官の裁量に任されているので、どうしても主観的な要素が大きくなります。2022年7月後半には、オホーツク海高気圧が再び明瞭になってきたので、もはや梅雨ではないと言い張るわけにもいかなくなったのです。

      8月になると、西日本、東日本は再び小笠原気団に覆われるようになったものの、梅雨前線は北日本付近で停滞を続け、秋雨前線化するまで消滅することはありませんでした。このために、東北地方と北陸地方で梅雨が明けることがなかったのです。

      梅雨明け後に日本列島を広く覆う小笠原気団は、勢力が強くなったり弱くなったり周期性があります。2022年は強弱が極端であったという見方ができるかもしれません。

      予報官をだました6月下旬~7月初めには、小笠原気団は極端に勢力が強くなりました。観測史上最強クラスの高温になったところも多く、40℃超えも続出しました。

      そして7月中旬に少し弱気になったところに、上空の寒気が流れ込んできたり、台風や熱帯低気圧、梅雨前線などが入り込んできたのです。例年だと少し小笠原気団が弱気になっても、雷雨が頻発したり台風が接近したりするなど、一時的な天気の崩れで済んでしまうものですが、2022年の小笠原気団は低気圧系の存在に、完全に場を譲ってしまったのです。

      なお、8月の天気図を見ていたところ、北日本のみならず日本列島全体に非常に湿った暖かな空気が流れ込んでいたのも印象的でした。まるで台風が上陸したときのようでした。そのために、梅雨明けしたはずの地域でも局地的な大雨が頻発したと考えられます。

      梅雨明けして小笠原気団に覆われると、カンカン照りの猛暑で滅多に雨が降りません。地球レベルで考えると、小笠原気団は「砂漠気候」をもたらす気団なのです。日本が砂漠にならないのは、小笠原気団がときどき隙を見せてにわか雨・雷雨が発生したり、台風や熱帯低気圧がやってきたりするためです。

      しかし2022年の小笠原気団は、あまりにも大きく隙を見せた印象が強いです。地球規模で考えると「砂漠気候」の南側には、「熱帯雨林気候」が控えています。2022年の日本の夏は「熱帯雨林気候」に近かったという言い方もできることでしょう。

      「熱帯雨林気候」は赤道気団の支配下です。赤道気団も小笠原気団と同じ湿った暖かな気団ですが、大きな違いがいくつかあります。小笠原気団は高気圧性ですが、赤道気団は低気圧性です。小笠原気団は地表近くで高温多湿であるものの、上空は乾いています。赤道気団は地表から上空までジトジトに湿っています。

      このために、赤道気団内では積乱雲が次々と発達し、にわか雨や雷雨(俗に言うスコール)をもたらします。積乱雲が集団になれば、熱帯低気圧、台風へと進化することもあります。日本の四季を語る際には、これまで教科書などで参考程度にしか扱われていなかった赤道気団も考えなければいけなくなってくる未来もありうることでしょう。

      2022年梅雨から夏は、そのデモンストレーションのようだったとも言えそうです。

      金子大輔

       

      2024年の梅雨入り・梅雨明けはいつ?全国の最新予想!