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【津波のメカニズム】大地震と関係ある?津波対策の方法も紹介!

津波一瞬にして都市をのみ込み凄惨な光景へと変貌させる津波。
3・11はまだ最近のこと。
2021年2月13日の23時8分頃に東北で再び大規模な地震(震度6)が発生したのも記憶に新しいため、今後も津波に対する警戒は怠れません。
津波は恐ろしいものであるという認識は誰もがもっています。
しかし津波がどのようなメカニズムで発生しているのかを知る方は少ないでしょう。
また津波が生じたときの対応策についても、ご存じではない方は多いはずです。
そこで今回は津波のメカニズムを解説すると共に、もし津波が生じたときにはどのような対策をするといいかをお伝えします。
 

津波発生のメカニズム

地震発生のメカニズム
津波は大地震により、海底が隆起することで生じます。
地球の表面は厚さ100kmほどのプレートと呼ばれる十数枚の岩盤で覆われています。
プレートは地殻と最上部マントルからなる固い岩盤部分の総称で、大地や海底と同義です。
プレートはその下を対流しているマントルにより少しずつ移動していますが、プレート同士が接触する場所では、プレート同士が衝突し合ったり、すれ違ったり、片方のプレートが片方のプレートの下に沈み込んだりします。
プレート同士の接触が激しい場所では強い力が働き、それにより地震が発生するのです。
そして海底の下で大地震が発生すると、その影響で海面が大きく揺れ動き、海面が隆起し、津波となって沖まで押し寄せてきます。
これが津波発生のメカニズムであり、早ければ地震発生から数分後に内陸まで押し寄せます。

1983年5月26日に発生した日本海中部地震⇒地震発生から8~9分で津波が上陸
1993年7月12日に発生した北海道南西沖地震⇒地震発生から約5分で第一波、第一波の10分後に大規模な第二波が到達

南海トラフ巨大地震は、地震発生から2分で津波が上陸すると推測されています。
その推測が正しかったとすれば、地震が発生した直後には高い所へ避難する必要がありますね。
 

日本が地震大国である理由|四枚のプレートが接触している

日本のプレート

日本は世界でも類稀な地震大国であり、歴史の中でも幾度となく大地震を経験しています。
ここ100年ほどで世界において発生したマグニチュード7以上の地震のうち、10%は日本で発生したと言われています。
日本列島は四枚のプレートが接する位置にあり、きわめて地殻の変動を受けやすい島国です。
日本列島は北米プレートとユーラシアプレートの二つの地殻の上に存在し、さらに太平洋プレートとフィリピン海プレートの沈み込みの影響を受けて激しく揺さぶられています。
特に房総沖(ぼうそうおき)と伊豆半島付近には、四つのプレートがせめぎ合う場所があり世界的に類例がありません。

南海トラフ巨大地震|今後30年以内に発生する?

南海トラフの影響予測

南海トラフは、四国や紀伊半島の南部の海底に存在する水深4000メートル級の深い溝のことで、ユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが沈む込む形で存在しています。
南海トラフでは、およそ90年から150年の周期(200年周期という説も有力)で巨大地震が発生していると考えられており、もっとも新しいものでは以下の大地震がありました。

1944年の東南海地震(紀伊半島南東沖を震源とするマグニチュード7.9の地震)
1946年の南海地震(紀伊半島南方沖を震源とするマグニチュード8の地震)

この二つの巨大地震はいずれも死者1000名と超える甚大な被害を出しました。
しかしこのときは、駿河湾付近の駿河トラフでは地震が起こらなかったため、プレートが滑り残った駿河湾で単独の巨大地震が起きるのではないかと1970年頃から懸念されています。
また2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震が従来の予測を超える巨大地震だったため、南海トラフでも想定を超える大地震が起きるかもしれないと言われるようになりました。
今後30年以内に南海トラフ巨大地震が発生する確率は70~80パーセントだと言われています。
さらに南海トラフ巨大地震により生じる津波で特に被害が出ると言われている都道府県は以下の通りです。

・静岡県の想定死者数⇒10万9000人
・和歌山県の想定死者数⇒8万人
・高知県の想定死者数⇒4万9000人
・三重県の想定死者数⇒4万3000人
・宮崎県の想定死者数⇒4万2000人
・徳島県の想定死者数⇒3万1000人
・愛知県の想定死者数⇒2万3000人
・大分県の想定死者数⇒1万7000人
・愛媛県の想定死者数⇒1万2000人

参考:http://www.asahi.com/special/nankai_trough/

南海トラフ沿岸の都道府県が特に被害が大きいことがわかります。
九州・四国・紀伊半島・東海地方に住む方々は、津波の対策を練っておく必要があります。
全国の死者数は最悪の場合で32万3000人と想定されており、直接的な被害額は全国で169兆5千億円という推定です。
2011年3月11日に発生した東日本大震災は死者数が16000人未満だということを考えると、予測される南海トラフ巨大地震がいかに危険であるかということがわかります。
 

3・11の津波|国内観測史上最大の津波

3.11の津波は最大10メートル近い津波が内陸5km地点まで到達しました。
モーメントマグニチュード9.0と日本周辺で観測史上最大となった巨大地震でしたが、地震発生から約30分後に町をのみ込んだ巨大津波の脅威も記憶に新しいですね。
東日本大震災により発生した津波の高さは、福島県相馬で9.3メートル以上、大船渡で8.0メートル以上、宮城県石巻市鮎川で7.6メートル以上を観測したほか、宮城県女川漁港では14.8メートルの津波を確認したとされています。
また国土地理院によると、青森、岩手、宮城、福島、茨木、千葉の6県62市町村における浸水範囲面積は561立方メートルであり、これは山手線の内側の面積の約9倍となります。
さらに3・11の津波は仙台平野においては海岸線から内陸まで約5kmに渡り浸水したことがわかりました。
 

北海道南西沖地震の津波

北海道奥尻島の北方沖で1993年7月12日の22時17分に発生した北海道南西沖地震。
夜間だったので津波を捉えた写真などの記録はありませんが、津波の最大波高は16.8メートルだったとわかっています。
津波警報は地震発生から4~5分で出されたようですが、間に合わず死者・不明198人を出す大災害となりました。
地震発生は7月という比較的温暖な時期でしたが、北海道の冬の寒さを考えれば地震発生がもし真冬だったとすれば、二次災害も甚大だったことでしょう。
 

津波対策について

津波避難

海岸線沿いにお住まいの方は、大きな揺れを感じたら1分でも早く1メートルでも高い所に避難しましょう。
大津波警報を確認してから避難するのでは、遅すぎると思った方がいいです。
事実1983年に発生した日本海中部地震は、警報が発表される前に津波が到達しました。
避難するときには車を利用した方がいいと思うかもしれませんが、地震の際は交通渋滞に巻き込まれやすく足止めをくらう可能性が高いため、可能な限り自らの足で避難することをおすすめします。
高齢の方や身体が不自由な方は車に乗せた方が良い場合もあるかもしれませんが、そうではないという五体満足の方は、できるだけ自分の足で高い所まで行きましょう。

津波の速度は車よりも速い

津波は水深が深い所の方が速く水深が浅くなるにつれて速度が遅くなります。
とは言っても、津波は水深5000メートル地点だと時速800kmで進みますが、水深100メートルの地点でも時速110km程の速度を出します。
参考:http://bosailiteracy.org/literacy/tsunami/tsunamispeed/

時速110kmというのは、高速道路を走る車よりも速いくらいです。
人間の足では津波から逃げ切ることは困難であるため、津波が押し寄せてくる前に高い所へ避難した方がいいのです。
効率良く非難するには、あらかじめ沿岸市町が発行しているハザードマップを頭に入れておくことをおすすめします。
 

津波の被害が多い場所

津波による被害の危険がある場所は、沿岸部の平地、埋め立て地、河川敷付近の三か所となります。
宮城県、岩手県、福島県の津波が猛威を振るったのは、沿岸付近は平地で高台が少なかったからです。
埋め立て地には人が住んでいるということは少ないでしょうが、沿岸部の平地、河川敷付近にお住まいの方は、ハザードマップを頭に入れるとともに避難のシミュレーションをしておいた方がいいでしょう。
 

実は恐ろしい「河川津波」

内陸に住んでいれば津波の影響は少ないだろうと、高をくくっている方もいるかもしれません。
しかしその考えは間違っています。
ハザードマップを見れば一目瞭然ですが、津波の被害をもっとも受けるのは埋め立て地と平地、そして河川敷付近だからです。
事実、東日本大震災では「河川津波」の影響が甚大で、一番津波の影響を受けた川は、河口から49km上流まで津波が押し寄せたといいます。
内陸に住んでいたとしても、河川敷付近にお住まいの方は巻き込まれる危険性が非常に高いのです。
お住まいの地域に川がある場合は、たとえ内陸だったとしても十分に警戒する必要があります。
 

沿岸部にお住まいの方は即座に高い場所へ

当然ですが沿岸部にお住まいの方は、地震が発生したらできるだけ早く高い場所へ避難しましょう。
津波の勢いと速度は甚大です。
たった一秒の逡巡が命取りになる可能性があるため、一刻も早く一メートルでも高い場所へ避難しなければなりません。

津波発生のときに乗船している場合は? 

津波発生のときに船に乗っている方は、そのまま海上にいて津波をやり過ごした方が安全だと言われています。
水深の浅い所は津波の影響を受けて危険ですが、逆に水深の深い所は津波の影響が少なく安全なのです。
地震が発生したときに船に乗っているときは、下手に上陸するより早急に沖に出た方がいいということを覚えておきましょう。
 

津波の被害について

津波は0.5メートルの高さであっても大人が屹立していられない勢いで流れます。
1メートルの高さの津波だと、木造住宅を部分的に破壊する恐れがあるくらいです。
逆に津波に強い住居は、鉄筋コンクリート造りです。
鉄筋コンクリートの場合は16メートルほどの津波にも耐えられるので、東日本大震災で発生した津波にも耐えられるでしょう。
参考:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq26.html

事実、東日本大震災で沿岸部の木造住宅はほぼ壊滅しましたが、鉄筋コンクリート造りの小学校やホテル、集合住宅は形を残しました。
とはいえ、東日本大震災の際に鉄筋コンクリート造りでも横転したマンションがありましたので、絶対大丈夫ということはないでしょう。
 

ハザードマップについて|スマホがあればいつでも確認可能

ハザードマップ

ハザードマップはネット検索ですぐに出せますので、スマホがあればいつでもどこでも確認可能です。
お住まいの地域の住所を入力すれば、津波の危険区域がすぐにわかります。
土砂災害についても調べられるので、ハザードマップは山岳部にお住まいの方にもおすすめです。

ハザードマップ
https://disaportal.gsi.go.jp/

まとめ

津波の速度は非常に速いため、そばまで押し寄せてきたら逃げ切ることは困難です。
津波から逃れる方法は押し寄せてくる前に安全な高台へ避難するしかないため、大きな地震に遭遇したときはできるだけ早く高い所へ避難しましょう。

津波は大地震により海底が隆起することにより生じる
津波は地震発生から数分後に上陸する場合がある
大きな地震の際は大津波警報を待たずに一分でも早く高い所へ避難する
海岸線に住んでいる方は事前にハザードマップを頭に入れておくことを推奨
乗船している方は逆に沖に出た方が安全(より水深が深い所に行く)

南海トラフ巨大地震の影響を受ける地域にお住まいの方は、今のうちにリスクマネジメントしておくことをおすすめします。
もし本当に地震が発生してから2分後に津波が到達するのであれば成す術がありません。




 
【津波のメカニズム】大地震と関係ある?津波対策の方法も紹介!