台風ってなに?
サーフィンやウェイクボード、ダイビングなどマリンスポーツを楽しむ方にとって、波の情報と同じぐらい気になるのは、お天気ではないでしょうか。そのなかでも、特に注意しておきたいのが台風です。
台風は夏の終わりから秋にかけて日本へとやってきて季節の風物詩のようになっていますが、実際に「台風ってなに?」と聞かれるとよく分からないという方も多いので、台風についてご紹介しましょう。
気象庁の定義では、熱帯の海上で発生した熱帯低気圧のうち、北西太平洋または南シナ海にあり、10分間平均の最大風速が17m/s、風力8(木の枝が折れたり、立っているのが困難な状態)のものを「台風」と呼ぶとされています。
台風はどうやって生まれるの?
秋になると、ある日突然、天気図に表れる台風ですが、台風ができるのにはメカニズムがあります。海水温が高くなると海水は水蒸気として蒸発していきます。その際、水蒸気は空気より軽いので上昇気流を作ります。
上昇気流が出来ると気圧が下がって、低気圧といわれる状態になります。
通常の低気圧は日本列島でもできますが、台風のもとになる熱帯低気圧は熱帯で出来ます。
そして、海面から蒸発した水蒸気は上空で冷やされて積乱雲となります。
この積乱雲が地球の自転によって加わる力の影響で、渦状になります。
この渦の中心付近で風速が秒速17m以上になれば、熱帯低気圧から台風へと変わります。
台風は場所で呼び名と発生時期が変わる
サーフィンなどのマリンスポーツをするのは、日本国内だけとは限らず海外で楽しまれる方も多いでしょう。そこで、現地の天気予報を確認するうえで注意しておきたいのが、台風は場所によって呼び名が変わるという点です。
台風のもとともいえる熱帯低気圧は、北西太平洋や南シナ海だけでなく、世界中の温かい海で発生します。
そして、台風は発生後、風に流されながら様々な場所へと進んでいき、この進む場所によって呼び名が変わります。
アフリカの東側に位置するインド洋やマリンスポーツ好きの方に人気の旅行先であるフィジーやトンガのある南太平洋付近にあるとサイクロンと呼ばれます。
また、ロシアの東端をとおる東経180度より東側で北半球の太平洋やヨーロッパ大陸とアフリカ大陸、アメリカ大陸との間にある大西洋にある場合は、ハリケーンと呼ばれます。
そして、日本を含む北半球の東経180度より西側にある東アジア周辺の太平洋にある場合は台風(タイフーン)と呼ばれます。
また、発生時期も台風・ハリケーンとサイクロンでは大きく異なります。
台風やハリケーンが主に6月~11月に発生するのに対し、サイクロンは4月~12月の間に発生します。
サーフィンなどのマリンスポーツを楽しむ場合、行先の場所や時期によって、台風やサイクロン、ハリケーンの発生に注意しましょう。
台風のサイズ
台風情報を見ていると「大型の台風」や「超大型の台風」といった表現を耳にすることがあります。これらの「大型」や「超大型」という表現は台風の大きさを示す分類です。この台風の大きさというのは、風速15m/s以上の強風域と呼ばれる範囲がどれだけの広さ
かということで決められています。
大型の台風の場合、風速15m/s以上の強風域が半径500km~800km未満と規定されています。半径500km以上というと東京から東は岩手県の岩泉町まで、西は岡山県の備前市まで
がすっぽりと入ってしまう大きさです。
さらに、超大型の台風は、風速15m/s以上の強風域が800km以上と規定されています。
半径800km以上は、東京から東は北海道の苫小牧市まで、西は山口県の宇部市までを超える大きさです。
どれぐらいの数の台風が日本へやってくるの?
毎年、日本の南や西の海上で多数の台風が発生しており、その数は1981年~2010年までの30年間で平均年間発生個数が25個となっています。このうち日本へと近づいてくるのが11個程度で、気象官署から300km以内に入る数は北海道から九州までで5~6個、沖縄県・奄美地方では7~8個となっています。
台風の種類
台風が原因で受ける被害の内容によって、大きく分けて台風は2種類に分けることができます。2種類のうちの1つが「雨台風」、もう1つが「風台風」です。
雨台風は文字通り雨による影響が強い台風で、風台風は風による影響が強い台風です。
どちらも豪雨や暴風に注意が必要ですが、海への影響が大きいのは風台風です。
海では海水に風が吹きつけることで波が起こります。この風の強さや風が吹く時間などによって波の大きさが日々変わっています。
このため、台風の影響で海に吹き込む風が強くなると波が高くなるので台風が発生したら
海へ出かける前には、風向きや満潮などの時間に注意しておきましょう。
危険半円に要注意
「台風の右側の地域は、風の影響が強くなりやすい」というのを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
昔から船乗りの間でも、台風の右側は航行するのが危険として「危険半円」と呼ばれています。
日本がある北半球では、台風は一般的に西から東へと進みます。その際、地上では台風の中心に向かって反時計回りの風の流れが出来ています。
この吹き込む風の流れと台風を移動させている風の向きが同じなので、相乗効果で風が強くなります。
台風が近づいている時は海に近づかないというのが鉄則ですが、特に台風の目の右側にあたる地域の海沿いの地域では強い風の影響で波が高くなりやすいので注意が必要です。